第74球「脈々」(2002.6.8)

 前にも書いたが、TWINSというチームは2つの大学軟式野球同好会が母体になっている。毎年のことであるのだが、戦力補強という名目で新人選手の発掘を続けているのだが、その甲斐あって(?)同好会の後輩が多数入団してくれている。先輩の一人としてはひじょーに嬉しい。自分達が築いているものがしっかり受け継がれていて、なおかつそれを今も大切に思ってくれる後輩達がいる、ということを感じることができるからだ。

 TWINSだけではないのだろうが、新人選手発掘の絶対条件は「チームにフィットするかどうか」に尽きる。だから、「戦力補強」という名目はあれども、それがイコール実力者を入団させるということではない。その人となり、考え方なり、スタンスなりそういうところを主眼において、後輩なり友人を誘うことになる。その主眼点が、合致して初めて「入団」してもらうようにしている、というわけだ。

 俺自身を振り返って見れば、こと野球に関する取り組み方は学生の頃から全然変わっていない(と思っている)。そんな中で、一緒に野球をやってきた後輩達、そして、その伝統を受け継いできた後輩達と再びグラウンドで一緒に野球をできることに、無上の喜びを感じる。これは素晴らしいことだ、と思う。

 なぜ時代を超えて、再び同じグラウンドに集まってくるのか。それはそのグラウンド、そして、その仲間達に懐かしい「匂い」を感じるのだ、と思う。その匂いは、自分自身に戦う気持ちや、負けた悔しさや、勝つ喜びを今一度思い出させてくれる。その匂いは自分自身の学生時代を思い出させてくれる。

 これはTWINS結成以来脈々と続いている小さな伝統である。あんまり意識することは無かったけど、実は我々にもそういう小さい伝統が息づいているのである。とかく伝統というと、古臭く、封建的なもの、と捉えるムキもあるが、俺自身はこの伝統はポジティブに受け止めたいと思う。

 後輩達よ、俺に負けずに頑張ってくれ。実力的にはもう充分取って変わられてもおかしくないけれども、それでも俺はお前達の高い壁でありつづけるつもりだ。脈々と続く小さい伝統の一部分としてこれからも戦っていくつもりだよ。