第231球「力を維持するには」(2005.11.17)

 この年になると、どうやってフィットネスを保とうか、どうやって活躍できる体を作ろうか躍起になって取り組んだりする。書籍を買いあさったり、有名なトレーナーの言うことを聞いてみたり、とりあえずジムに通ってみたり、まずは、ということで食堂まで階段で登ってみたり、と色々とやってみたりする。

 まだ体力が残っているからか、維持できているからかわからないが、目に見えてどうこうなった、というためしがない。ここ数年ショートとしてある程度動けていることそのものが目に見える成果だ、と言ってしまえばそれまでなのだが、数値やデータが劇的に変わった、などという経験はあまりない。

 そこでこの表題だ。この表題に対する俺の究極的な回答は「毎週グラウンドで野球をすること」だ。近年野球でこそ使う筋肉として「インナーマッスル」が脚光を浴びているが、器機を使った筋力トレーニングではこれらを鍛えることはできない。あくまで外側の筋肉を鍛えるものであることが実証されていることを考えると、余計野球で使う筋肉は、野球で鍛えるべき、という考えにシフトしてきた。

 ただし、一点だけ言うなれば野球の基本は下半身だ。下半身の粘り、下半身の安定。ここは野球でなくても充分鍛えられる。走るだけ、歩くだけ、登るだけでも充分に鍛えられる。それでも単に走るだけ、歩くだけ、登るだけでは面白くないので、やっぱり球場で野球をしながら、という意見であることには変わりない。

 だからこそこの時期、ちょっと寒いかもしれないけど、グラウンドに立つべきだ。ただでさえ激戦のグラウンド確保がしやすくなるこの時期。面倒くさがらずにグラウンドに立とう。汗をかいて、体を作って、来季に備えよう。それが力を維持するための最低限の営みなのではなかろうか。我々首脳陣もそれに向け準備はいくらでもする。だからこそ、この時期の参加率の低さは非常に残念なのだ。

 何もしなければ間違いなく力は下がる。体が動かなくて野球がつまらないなら、体を動けるようにしよう。過去の栄華よりも未来の現実に目を向けて取り組んでいかねばならないのではなかろうか。野球人にシーズンオフなど存在しないのである。